GOCOOメンバーとの出逢い ヒデサトウ編

さいしょは しーん としていました。

あれはやはり、1990年代 初頭のことだったと思います。
上野動物園の白熊舎の前に立っていた時には、
私は、常に自分から37歩ぶんくらいの距離をおいて、
見え隠れする、その存在に、すでに気づいていました。
白熊と動物園を出たあとも、
それは、わがやの周辺にたびたび、出没するようになりました。

それ、は、ひとつの うえきばち でした。
中にはただ、土が入っているだけの。

でもていねいに耕された跡の見えるその土が発する
いのちの気配を、私は感じとっていました。
白熊は、最初わずかに興味を示したかに見えましたが、
しばらく、ふがふがとニオイを嗅ぎまくり、
仕上げ、とでも言うように、
土の表面に、ばしっと平手打ちをくらわせると、
それで興味を失ったようで、
たらみのゼリーを食べに行ってしまいました。

うえきばち は気まぐれに、私達の前に現れたり、
しばらく姿を見せなかったりを繰り返していましたが、
多分、あの白熊のイチゲキは、うえきばちにとって
よいしげき だったようでした。

やがて、うえきばちに小さな変化が・・・
鉢の大きさに対して、不釣り合いなほどちいさなちいさな
ふたば が、ちょこんと顔をだしたのです。

ああ、やはりこれはただの土じゃなかった。
うえきばち はあいかわらず しーんとしたままですが、
雨の降らない日が続いた時などに、水をかけてあげると、
自分でひなたにいって、日光浴をしたりして、
そんなコミュニケーションらしきものも、
なんとなくとれるようになりつつ、
ふたば は、確実に、日々、すこしずつ、すこしずつ、
成長を続けていきました。

どうやら、蔓科の植物の苗らしい、とわかってきた頃も、
うえきばち はあいかわらず しーんとしたままでしたが、
水のかわりに、肉じゃがを要求したりするようにもなりました。

肉じゃがの栄養も加わって、
うえきばち は加速度的に成長をし始めました。
しかし、一途でがんこで、不器用な性質らしく、
形をととのえることをよしとせず、自分のしんじたほうこう に
どんどん蔓を伸ばしていってしまうので、
なんとも形容しがたい、すがたかたちの植物になっていきました。
しかも、しなやかな蔓の先端42cm程は、何故か必ず堅く、
私達はそれを「バチの実がなった」と呼んでいました。
でも、その形容しがたい すがたかたちには、
なぜか、ひとのこころ をとらえて離さない魅力があり、
蔓1本1本にフシギなちから が みなぎっていました。

そしてとうとう、うえきばち は、
しなやかな蔓を自在にあやつれるようになり、
バチの実で、器用に 太鼓を打つようになり、
白熊の良い遊び相手となって、
私達を楽しませてくれるようになったのです。

でも、そんなうえきばち との楽しい日々は、
数年後のある日を境に、ふっつりと途絶えました。
うえきばち が姿を消してしまったのです。
これには白熊もおそらく、人知れずこころをいためたようで、
その晩は、ふかざけ をしてすこしだけ、あばれてしまいました。

「きっとあの不器用なうえきばち とは
再会する日が、必ずやってくるよ」
私はそう言って白熊を、朝までなだめてやりました。

そう、再会の日は、やはりやってきたのです。
あれは私達が「虹の旅」にでかけようとしていた頃のこと。
ふらりと、うえきばち は私達のところに帰ってきたのです。

「おお、待っていたよ。一緒に虹の旅に出るかい?」
すると、うえきばち は立派に伸び放題に伸びた蔓を
わっさわっさと揺らして「YES」の意志を表明してくれました。

もちろん、私達は その足で かみさまの所へ行きました。
「かみさま、どうか、このうえきばち を
人間にしてやっては頂けないか」
するとかみさまは
「いいよ」
と、例によって、いともあっさりと、
うえきばち を人間にかえてくれたのです。

かみさまは、
人間になっても、以前のすがたかたちを彷彿とさせる容姿に
仕上げるのが、おじょうずです。

うえきばち は、しなやかでひょろりとした肢体をもち、
無口で、ちょっと何を考えているのかワカラナイ、けど
こころやさしく、ナイーブで、才能豊か、
頑固で不器用だけど
一本、芯の通った、魅力的な男性の太鼓打ちに成長しました。

ただ、うえきばち だった頃、
伸び放題に伸びていた蔓は、かみさまでもうまくまとめきれず
最後の最後でちょっぴり やけくそ になったかみさまが
残りの蔓を全部、「かみのけ」にしてしまったので、
びみょーにバランスのわるいことになってしまいました。

でも、気を取り直した かみさまは、うえきばちに
「ヒデサトウ」という立派な名前をつけて下さいました。

そして
「さあ、虹の旅へゆくがよい。
おまえたちにはまだ、出逢うべき仲間がいる。
その仲間達と果たすべき仕事がまっておる。 」
と私達を送り出してくれたのでした。

つづく・・・・
かも。

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日本国内をはじめ、世界中で活動している創作和太鼓グループ「GOCOO」のリーダー。
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